概要
罹患猫は脂質の分解に関わる酵素が欠損しているため、先天的に血中のリポ蛋白値(特にカイロミクロン値とVLDL値)が高いです。正常な猫と比べて成長が遅く、高脂血症に伴って肺や肝臓、腎臓、脾臓、舌、脳といった全身臓器に「黄色腫」と呼ばれる腫瘤病変(肉芽腫病変)が形成されることがあります。通常、致死的ではありませんが、黄色腫ができる部位によっては神経症状など重篤な症状がでる場合もあるので注意が必要です。ヒトでは高脂血症に伴い動脈硬化や心筋梗塞、膵炎を起こすことが知られていますが、ネコではそういった症状の報告はありません。
予防と対策
低脂肪・高タンパクの食餌を与えることで、血中脂質の上昇を抑え、成長遅延を予防できると言われています。
参考文献
Ginzinger DG et al. (1996) "A mutation in the lipoprotein lipase gene is the molecular basis of chylomicronemia in a colony of domestic cats" J Clin Invest. 97(5):1257-1266.
Reginato CF et al. (2002) "Improved growth of lipoprotein lipase deficient kittens by feeding a low-fat, highly digestible diet" J Nutr Biochem. 13(3):149-156.