概要
致死性の神経疾患です。国内で報告の多いウェルシュコーギーペンブローク犬では10歳前後から症状が始まります。初期の症状は後肢から始まり、後ろ足をすって歩く、歩行時に腰がふらついたり後ろ足が交差するようになります。症状は次第に前肢にも広がり、上半身を支えることができなくなります。最終的には呼吸を司る筋肉にも症状があらわれ、発症後3年ほどで呼吸不全により死んでしまいます。ウェルシュコーギーペンブローク犬における本遺伝子変異の浸透率は79%と高いですが、変異型の遺伝子をもった個体全てが本疾患を発症するわけではなく、他の環境要因や遺伝因子も発症に関わっていると考えられています。
予防と対策
現在のところ有効な予防法はありません。発症してしまった場合、肢端の保護や体重管理、呼吸機能低下にたいするケアなど、病期に併せたケアが必要になります。症状の進行を遅らせるために理学療法が有効とも報告されていますが、根本的な治療法はありません。
参考文献
Awano T et al.(2009) "Genome-wide association analysis reveals a SOD1 mutation in canine degenerative myelopathy that resembles amyotrophic lateral sclerosis" Proc Natl Acad Sci USA. 106(8):2794-2799.