概要
眼内の水晶体を固定する靭帯が先天的に弱いため、水晶体脱臼(正常な位置から外れてしまうこと)が生じます。症状が出ない場合もありますが、脱臼によって周囲の角膜やぶどう膜に炎症がおきると眼が大きく腫れ、痛みを伴います。緑内障などの合併症を起こしやすく、重症化した場合、短期間で失明します。
予防と対策
有効な予防法はありません。アフェクテッドの犬は定期的に眼科を受診し、水晶体脱臼の早期発見、早期治療を心がけてください。軽度の水晶体脱臼(亜脱臼)に対しては、内科療法として縮瞳作用のある点眼薬を定期的に点眼し、水晶体の前方脱臼を予防します。眼圧の上昇を伴う後方脱臼や、前方脱臼が見られた場合は、合併症のリスクが高いため手術(水晶体摘出術、眼球摘出術など)が適応となります。
参考文献
Farias FH et al.(2010) "An ADAMTS17 splice donor site mutation in dogs with primary lens luxation" Invest Ophthalmol Vis Sci. 51(9):4716-4721.
Gould D et al.(2011) "ADAMTS17 mutation associated with primary lens luxati
on is widespread among breeds" Vet Ophthalmol. 14(6):378-384.